いきなりですが、資産形成の大原則を一つだけ挙げるとしたら何にしますか?
株を安く買って高く売ること?リスクを分散して投資すること?
これらはもちろん大事な手法ですが、いついかなる時も成り立つような大原則ではありません。算術でいう四則演算、物理学でいう万有引力の法則、それらと同等レベルな誰もが信じて疑わないような大原則は何でしょうか。
思うに、資産形成にそのような大原則があるとすれば、古今東西一つしかなく、今までもこれからもどこに行ってもこれしかありません。
それは、
資産 = 収入 ー 支出
です。
そう、単純な引き算です。
資産形成と言われると、投資をしたりなどと難しく思われがちですが、実は、資産を増やそうとすることは「収入を増やし、支出を減らす」それに尽きます。とても簡単な話です。
家計も個人資産も企業ファイナンスも、強いては国の経済まで、どのレベルでも基本的には同じです。全ての経済活動がこれに当てはまると言っても過言ではありません。
昔勤めていた会社の上席の言葉が印象です「自慢ではありませんが、私は主婦の妻もびっくりするほど家計のやりくりをうまくやっています。よって、企業会計もうまくこなせている自信があります。」
そして、経済ニュースには難しい言葉が並びますが、これまた考え方は同じです。例えば「税制改革、新産業への投資、輸出促進、観光業復興に取り組むと同時に、公共事業を効率化させプロジェクトの優先順位を設ける」という方針が出た場合には、要するに「追加税金・投資利益・輸出・観光業で収入を増やし、公共事業のコスト削減と見直しで支出を減らす」それだけの話です。
では、どのようにすれば効率よく収入を増やし支出を減らせるのでしょうか?
生活水用の大きな貯水池にどれだけ多くの水を貯められるかを想像してみてください。水に増やすためには、ホースで水を足したり、増やすペースを早めるには、ホースを太くしたりホースの数を足したり、時には、恵みの雨が降ってくれることを期待します。水が減らないためには、洗濯の回数を減らすなど使う量を減らしたり、予定外の流出がないように貯水池の底に穴があれば塞いだりします。
資産形成も、手段こそ違うものの、理屈としては同じです。ものすごく単純な話です。そのすごく単純な話を、世の中は「ポートフォリオの多様化でリスクを分散して資産形成を最適化しましょう」などのキャッチフレーズで溢れているので、資産を増やしたくても尻込みしてしまうのです。
そこで、この入門編では、資産を増やしたい全ての方々にスムーズに理解していただくために、「資産 = 収入 ー 支出」を軸に、まずは収入を増やし支出を減らす手段のブレークダウンとそれぞれの特徴を分かりやすく説明し、資産形成の全体像を俯瞰的に見ていただきます。木を見て森を見ずとはならないように、まずは資産形成という壮大で豊かな森を見ていただきます。
代表的な収入(Income)を得る手段として、主にこういうのがあります。
・会社勤め
・給料、ボーナス
・自社株
・ビジネスの立ち上げ
・開業、起業
・サイドビジネス
・フリーランス
・著作権、特許権
・投資
・株式投資
・債券投資
・不動産投資
・コモディティ投資(金銀石油や芸術品、アンティーク、ワインなど)
・為替取引
・投資信託
・仮想通貨
・ベンチャーキャピタル投資
・銀行預金、定期預金
支出(Spending)としては、こういうのが代表的です。
・消費
・家賃、食費などの生活費
・育児費
・医療、介護費
・家や車などの購入費
・レジャーなどの娯楽費
・保険
・生命保険
・健康保険、医療保険
・自動車保険
・住宅保険
・賠償責任保険
・旅行保険
・税金
・所得税
・消費税
・資産税
・相続税
・車両税
・法人税
次回以降は、それぞれの手段の概要とさらに細かい業界を紹介していきます。入門編第二弾は「収入源1:会社勤め」について紹介させていただきます。