検証:Level 2
Level 1は「固定された検証対象(1投信銘柄のみ)、固定された投資期間、固定された開始時期」という極めて限定的な検証でした。投信銘柄や開始日時や期間が変われば、結果も変わってくるはずのなので、Level 2では、検証対象と投資期間を広げてみましょう。
検証金額:[毎日積立] 1日あたり1,000円 vs. [毎月積立] 1ヶ月あたり 1,000円 X 該当月積立可能日数(営業日)
検証対象: 下記の8投信銘柄。この8投信銘柄で、株式1,000銘柄以上、国は日本・米国・先進国・世界をカバー。なお、これらの組み合わせは、あくまで十分なカバレッジがあるために検証対象として選出されたのであり、投資対象として推奨する銘柄と必ずしも一致しません。推奨銘柄については、別の記事でお話しします。
- Target 1: 三菱UFJ国際-eMAXIS全世界株式インデックス (2011/01 ~ 2023/03)
- Target 2: 三菱UFJ国際-eMAXIS先進国株式インデックス (2010/01 ~ 2023/03)
- Target 3: ブラックロック-iシェアーズ 米国株式(S&P500)インデックス・ファンド (2014/01 ~ 2023/03)
- Target 4: 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) (2018/09 ~ 2023/03)
- Target 5: 三菱UFJ国際-eMAXIS NASDAQ100インデックス (2021/03 ~ 2023/03)
- Target 6: 大和-iFreeレバレッジ NASDAQ100 (2019/01 ~ 2023/03)
- Target 7: 三菱UFJ国際-eMAXIS NYダウインデックス (2014/01 ~ 2023/03)
- Target 8: 大和-iFree 日経225インデックス (2017/01 ~ 2023/03)
検証期間: 上記8銘柄それぞれで検証期間をランダムにずらす。
考察2−1:基準価格と平均購入単価
Level 1と同様に、まずは8銘柄それぞれの、基準価格とドルコスト平均購入価格を比較します。
















上記は、8銘柄それぞれの毎日積立(左側)と毎月積立(右側)です。予想通り、バリエーションが出てきました。世界(Target 1)と先進国(Target 2)が類似パターン、S&P500(Target 3, Target 4)とNY DOW(Target 7)が類似、そして、NASDAQ100(Target 5)・NASDAQ100 Double(Target 6)・日経225(Target 8)がそれぞれ異なるパターンを成しています。なお、検証期間を分けているので、縦の時間軸は位置的に一致していないことにご留意ください。
2020/03のコロナショックとその後のコロナラリーはどの銘柄にも共通します。NASDAQ100 Double(Target 6)の2022/01からの市場価格下落は、NASDAQ 100を構成するテック株の市場価格下落がダブルにかかっているので、顕著に傾向が出ています。
なお、数値データはスペースを取るので、参考ページに回します。
ここでは、毎日積立と毎月積立のWinスコア表を示します。つまり、それぞれのTarget条件で、毎日積立([Daily] DCA Price)と毎月積立([Monthly] DCA Price)どちらがより有利だったかの勝ち点表を作ります。下記のように、必ずしも毎日積立が勝るわけではないことがわかります(Averageでは、Dailyが5回勝ち、Monthlyが3回勝っている)。予想通り、銘柄・期間・開始時期が異なれば、結果も変わってくることがわかります。なお、バリエーションを十分に増やし、統計的に勝るものを結論づけるのは、Level 3以降の分析で示しますが、どちらが最終的に勝つと予想しますか?
Win Score | [Daily] DCA Price | [Monthly] DCA Price |
Average | 5 | 3 |
Median | 5 | 3 |
Last Day | 8 | 0 |
考察2ー2:合計積立金額と評価金額
















毎日積立の合計積立金額と評価金額も、基準価格と平均購入価格同様なバリエーションパターンになりました。数値データは参考ページに回します。
毎日積立と毎月積立のWin/Loseスコア表を作ってみると、今度は、毎日積立が 8 Targetともに勝っています。平均購入単価のWin/Loseスコアと一致しないのは少し意外ですが、Win/Loseスコアは、あくまで購入単価や評価金額の平均(Average)・中央値(Median)・最終日(Last Day)で勝ち負けを決めているので、結果のばらつきが出ることもありえます。
Win Score | [Daily] Realtime Value | [Monthly] Realtime Value |
Average | 8 | 0 |
Median | 8 | 0 |
Last Day | 8 | 0 |
考察2ー3:利益率
















毎日積立の利益率も、これまで同様なバリエーションパターンになりました。数値データは参考ページ をご覧ください。
Win Score | [Daily] Profit Rate | [Monthly] Profit Rate |
Average | 6 | 2 |
Median | 7 | 1 |
Last Day | 8 | 0 |
Level 2の結論
- 検証対象を増やし、検証期間と検証開始時期も変更すると、平均購入価格と利益率においては、毎日積立 vs. 毎月積立の勝ち負けにばらつきが出た。
- 検証対象を増やし、検証期間と検証開始時期も変更しても、評価金額においては、毎日積立が常に毎月積立より有利な結果になった。
Level 2の検証によって、「毎月積立より毎日積立の方が有利である」という仮説に対して、少しだけ自信が持てるようになった。さて、本当にそう言い切れるのか?