はじめに
「投信の積立頻度「毎日」「毎月」どちらがより利益になる?」では「一般的なケースにおいて、投信は毎月積立より毎日積立の方が有利」と結論づけたが、三井住友が提供する Olive フレキシブルペイを利用すると状況が変わってきます。
実は、そもそも、毎日積立と毎月積立の実力差を調査しようとしたのは、Olive フレキシブルペイを利用すべきかどうかスマートな判断がしたかったからです。というのも、毎日積立と毎月積立の単純比較は、ドルコスト平均法の特性により、毎日積立が有利か、そうでなくとも両者に大差はないことが直感的に予想されたので、その時点では特に毎日積立 vs. 毎月積立を問題視せずに、毎日積立を選択していました。ところが、2023年3月に、Olive フレキシブルペイが発表されたことで、状況が変わりました。例えば、SBI証券において、Olive フレキシブルペイのプラチナプリファードカードを利用して投信積立をすると、積立金額に対して5%が還元されます。一般的にインデックス投資は平均年間 5% ~ 7%程度の利益率なので、その利益率に近い 5%還元というのは、なかなかセンセーショナルです。ただし、Olive フレキシブルペイで積み立てるには、毎月積立の選択肢しかなく、毎日積立ができないのです。そこで必要になってくるのが、「還元なしの毎日積立 vs. 還元ありの毎月積立」の比較です。
問題提起
クレジット還元はないけど、毎日積み立てた方がより利益が出る?(ex. 積立:1,000円/日)
それとも、
クレジット還元がある、毎月積み立てた方がより利益が出る?(ex. 積立:30,000円/月 & 還元:5%)
まずは結論から
Olive フレキシブルペイのプラチナプリファードカードで投資信託クレジット積立をすると、5%還元されることにより、還元なしの毎日積立よりも断然有利。
- 前回同様17,584パターン中、平均利益率の平均値とシャープレシオは100%、中央値は99.85%が毎月積立の勝ち。
ただし、2つの注意点がある:
- クレジットカード積立は毎月5万円が上限であるため、それ以上積み立てる場合は、やはり毎日積立を選択するのがよい。
- 5%還元があるOlive フレキシブルペイ プラチナプリファードカードは、2年目より年会費がかかるため、個々のクレジット利用状況に合わせて契約判断をする必要がある。
具体的な検証
検証:Level 3
検証手法は、前回記事「投信の積立頻度「毎日」「毎月」どちらがより利益になる?」を踏襲するので、Level 1とLevel 2の限定的な検証は省略して、いきなり、Level 3「十分な数の検証対象、十分な数の投資期間、十分な数の開始時期」の結果を示します。
検証対象: 前回記事と同様の8投信銘柄。株式1,000銘柄以上、国は米国・日本・先進国・世界をカバーする。
投資開始時期:1日ずつずらして検証する。例えば、期間が2021/01/01〜2022/12/31の場合、2021/01/01〜2022/12/31、2021/01/02〜2022/12/31、・・・、2022/01/01〜2022/12/31、の約250パターン(毎営業日)を検証する。なお、検証期間が短すぎると結果に偏りが出るのは明白なので、期間は最短でも1年とします。こうすることで、いつのタイミングで積立を開始したとしても、市場の状況に影響されずに、より普遍的な法則に近づきます。そうでないと、例えば、運良くコロナショックの底で積立を始めた場合はより利益が出るし、逆に、運悪くコロナラリーのピークで始めた場合はより利益が少なくなります。
投資終了時期:投資は長期ほど安定した資産形成になるという思想のもと、投資終了期間は一律、現時点で取得できる最新データの2023/03/31までとする。
検証期間:上記のように投資開始時期をずらしていけば、検証期間もずらしたパターンだけ増えていきます。検証期間が短すぎると結果に偏りが出るのは明白なので、期間は最短でも1年とします。
検証金額:[毎日積立] 1日あたり1,000円 vs. [毎月積立] 1ヶ月あたり 1,000円 X 該当月積立可能日数(営業日)
クレジット還元率:Olive フレキシブルペイのプラチナプリファードカードによる5%(毎月積立のみ)
投資開始時期を17,584パターンに増やしても、基準価格より(毎日積立あるいは毎月積立の)平均購入価格の方が安く買えることには変わりません。以下では、毎日積立と毎月積立(クレジット還元5%あり)のWinスコア表を示します。つまり、それぞれのTarget条件で、毎日積立(Daily)とクレジット還元5%の毎月積立(Monthly with discount)どちらがより有利だったかの勝ち点表を作ります。
考察3−1:平均利益率
クレジット還元は平均購入価格には影響しないので、前回記事で検証した平均購入価格の比較は省略して、平均利益率の比較のみのWinスコア表を作ります。
平均利益率の平均値:
平均利益率の平均値で比較します。例えば、2011/02/01〜2023/03/31の期間中に積み立てた場合の平均利益率が60%、2018/02/01〜2023/03/31が20%、2021/02/01〜2023/03/31が10%だとしたら、この3つのパターンでの平均利益率の平均値は、30%( = (60%+20%+10%)/3 )。
下のWinスコア表の見方は、例えば、Target 1(eMAXIS全世界株式)の場合、3,752パターンのうち、0パターンでは毎日積立(Daily)がより高い平均利益率の平均値になり、3,752パターンがクレジット還元5%の毎月積立(Monthly)がより高い結果となりました。
Average | Target 1 | Target 2 | Target 3 | Target 4 | Target 5 | Target 6 | Target 7 | Target 8 | Total # | Total % |
Daily | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0.00% |
Monthly | 3,752 | 4,088 | 2,744 | 1,064 | 392 | 1,064 | 2,744 | 1,736 | 17,584 | 100.00% |
平均利益率の中央値:
平均利益率の中央値で比較します。例えば、2011/02/01〜2023/03/31の期間中に積み立てた場合の平均利益率が60%、2018/02/01〜2023/03/31が20%、2021/02/01〜2023/03/31が10%だとしたら、この3つのパターンでの平均利益率の中央値は 20%です。
下のWinスコア表の見方は、例えば、Target 6(iFree NASDAQ100)の場合、1,064パターンのうち、27パターンでは毎日積立(Daily)がより高い平均利益率の中央値になり、1,037パターンがクジレット還元5%の毎月積立(Monthly)がより高い結果となりました。
Average | Target 1 | Target 2 | Target 3 | Target 4 | Target 5 | Target 6 | Target 7 | Target 8 | Total # | Total % |
Daily | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 27 | 0 | 0 | 0 | 0.15% |
Monthly | 3,752 | 4,088 | 2,744 | 1,064 | 392 | 1,037 | 2,744 | 1,736 | 17,584 | 99.85% |
平均利益率のシャープレシオ:
平均利益率のシャープレシオで比較します。例えば、2011/02/01〜2023/03/31の期間中に積み立てた場合の平均利益率が60%、2018/02/01〜2023/03/31が20%、2021/02/01〜2023/03/31が10%だとすると、この3つのパターンでの平均利益率の平均値は 30.00%、標準偏差は26.46%なので、シャープレシオは 1.13になります(平均値 ÷ 標準偏差)。
下のWinスコア表の見方は、例えば、Target 1(eMAXIS全世界株式)の場合、3,752パターンのうち、0パターンでは毎日積立(Daily)がより高い平均利益率のシャープレシオになり、3,752パターンがクレジット還元5%の毎月積立(Monthly)がより高い結果となりました。
Average | Target 1 | Target 2 | Target 3 | Target 4 | Target 5 | Target 6 | Target 7 | Target 8 | Total # | Total % |
Daily | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0.00% |
Monthly | 3,752 | 4,088 | 2,744 | 1,064 | 392 | 1,064 | 2,744 | 1,736 | 17,584 | 100.00% |
Level 3の結論
- クレジット還元5%ありの毎月積立をすることで、平均利益率の平均値とシャープレシオは、17,584パターンのうちの100.00%が、毎月積立が有利であった。
- クレジット還元5%ありの毎月積立をすることで、平均利益率の中央値は、17,584パターンのうちの99.85%が、毎月積立が有利であった。
ちなみに、平均利益率の中央値で、毎日積立の方が有利だった 27パターンは、以下のものでした。
検証対象:Target 6: 大和-iFreeレバレッジ NASDAQ100 (2019/01 ~ 2023/03)
検証開始時期:2020/04/08〜2020/05/06 の27日
つまり、コロナショック2020の安値大底で積立開始して、かつ、通常のNASDAQ100ではなくレバレッジ2倍のNASDAQ100を対象にした場合のみ、クレジット還元5%ありの毎月積立よりも、毎日積立の方が有利になります。逆に、安値大底で積立開始を決断できて、かつ、自信もってレバレッジ2倍投資するというウルトラCでもない限り、クレジット還元率5%ありの毎月積立が断然有利だということを納得いただけるかと思います。
注意点
注意点1:
上記の検証により、毎日積立より、クレジット還元率5%ありの毎月積立が断然有利だと言えます。ただし、一つ残念なことに、現時点において、クレジットカードによる毎月積立金額の上限が設けられていて、どの証券会社も毎月5万円までとなっています。
毎月積立5万円以上の場合の選択肢:
- 現金による積立。この場合、クレジット還元がないので、やはり毎日積立の方がよい選択肢になります。
- [詳細、確認中] 複数の証券会社で口座を持つ。A社で毎月5万円、B社で毎月5万円、計毎月10万円ができると思います。なお、NISAは複数の証券会社に跨ぐことはできないので、やるとしたら、どちらかの証券会社ではNISA以外で積み立てる必要があります。
なお、クレジット積立するためには、クレジットカードと証券口座の名義が一致する必要があるので、夫と妻それぞれの証券口座で毎月5万円ずつ計10万円を一つのクレジットカードで還元を受けるというのはできません。
注意点2:
上記Level3では、5%還元があるOlive フレキシブルペイ プラチナプリファードカードを前提に検証しました。しかし、Olive フレキシブルペイ プラチナプリファードカードは最高クラスのプラチナカードであるだけに、2年目以降の年会費が33,000円と高額です(1年目無料)。そのため、個々のクレジット利用状況に合わせて契約判断をする必要があります。
クレジットカードの選択は、今回の記事から内容が外れるので、詳細は別の記事にしたいと思いますが、簡単にかつざっくり金額で、2023/5の現状を要約すると以下のようになります。
Olive フレキシブルペイ プラチナプリファードカード契約一年目:
Case 1: クレジットカード消費金額:0円/年
年間約5万円の利益
- クレジット積立による還元: 毎月積立5万円(年間60万円) x 5% = +3万円/年
- Olive フレキシブルペイ プラチナプリファードカード限定キャンペーン: 約+2万円
- クレジットカード消費金額による還元:0円
- クレジット年会費:0円
Case2: クレジットカード消費金額:100万円/年
年間約6万円の利益
- クレジット積立による還元: 毎月積立5万円(年間60万円) x 5% = +3万円/年
- Olive フレキシブルペイ プラチナプリファードカード限定キャンペーン:約+2万円
- クレジットカード消費金額による還元:100万円 x 1% = +1万円
- クレジット年会費:0円
Olive フレキシブルペイ プラチナプリファードカード契約二年目以降:
Case 1: クレジットカード消費金額:0円/年
年間約3,000円の損失
- クレジット積立による還元: 毎月積立5万円(年間60万円) x 5% = +3万円/年
- クレジットカード消費金額による還元:0円
- クレジット年会費:ー33,000円
Case2: クレジットカード消費金額:100万円/年
年間約17,000円の利益
- クレジット積立による還元: 毎月積立5万円(年間60万円) x 5% = +3万円/年
- クレジットカード消費金額による還元:100万円 x 1% = +1万円
- クレジット年会費:ー23,000円(カード消費金額100万円以上の場合は、年会費1万円割引)